最近のソメイヨシノの状況
桜並木の風景が変わる
桜並木といえばソメイヨシノというのが戦後の日本の定番でした。戦後復興の象徴として全国津々浦々でソメイヨシノが植栽されたための風景だっったのですが、老廃化したソメイヨシノが21世紀になった日本の悩みの種となりました。崩れ落ちた大きな枝が通行人を負傷させる事件が国立市で起こり、老廃化した木々のとりあつかいが社会問題化しました。
ソメイヨシノは実生しない(1万分の1くらいは実生する)ため、苗木作りはもっぱら接木で行ってきました。そのため生まれる新しい木は全て親木と同じ遺伝子を持つクローンとなります。ソメイヨシノが成長が早く、すぐに花を咲かせるのは、クローンだからです。そのことが、普通の里桜に比べて極端に短命になってしまった理由です。直根が短く、根が浅く横に張るのもクローンだからです。根の浅い木は長生き出来ません。
そこで、ソメイヨシノの後継木が取りざたされるようになりました。日本花の会は「ジンダイアケボノ」を強く推奨して全国に普及を進めてきました。相当数のジンダイアケボノが植栽されたようですが、一辺倒ということにはなりませんでした。新しく植え替える際に、選択される品種には伝統的な里桜として、フクロクジュ、フゲンゾウ、カンザンなどが見られます。エドヒガン、オオシマザクラ、ヤマザクラもかなり見られます。街路ではありませんが、ウコン、ギョイコウを植栽した施設も見られます。昔の荒川堤の桜並木は80数種の里桜がメインで、そこにソメイヨシノが混ざっているという風景でした。その意味では本来の桜並木に戻ってきたともいえます。
ソメイヨシノ一辺倒だった桜風景が各地で変貌しつつあります。老廃化したソメイヨシノ対策は急速に進められているので、近い将来には、ソメイヨシノを植栽しなおした場所をネットで検索しないと、見られなくなるかもしれません。
ジンダイアケボノ ソメイヨシノ
なを、古木を保存するための後継木づくりは、原木から実生した苗木を数年育てて、原木の新芽を接木してクローンを作出します。この場合は、寿命が短くなるということは起こりません。各地の有名な古木のクローンが、各地に寄贈されている例はたくさんあります。
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